それは、朝っぱらからやってきた
俺と癒李が肉体関係を持ってから２週間ほどたった。
これが若さってモノなのだろうか
俺と癒李の夜の関係は途切れる事無く毎晩と続いてる。
ここ２週間で変わった事といえば
お互いに余裕が出来てきたところだろう。
最初の数日では事後処理する暇もなく
両者そのまま力尽きて朝方苦労していたのだが
とりあえず、シャワー浴びてきたりする余裕は出来てきた。
そんな訳で、気持ちよく眠っている休日の朝だったんだけど………
「「きゃあぁぁぁぁぁぁぁ！」」
大きめな悲鳴とドシンという大音で俺は起こされるのだった。
「な、何の音だ？」
俺は大音に起こされ
布団を蹴り上げ体を起こした。
「………すぅ、すぅ」
隣の癒李はこの音にも関わらず熟睡中。
休日前で寝坊できるからって
昨晩は随分とがんばったからな
―――これも若さなのかなぁ〜
一瞬、そんな事に意識を持っていかれつつ俺は音源に眼を向けた。
「いったぁ〜い」
「ちょっと、私の上から降りてよ！」
「ダメ〜、足が挟まって抜けない〜」
クローゼットの前で少女が２人絡まって転がっていた。
転がっている位置関係から見ても
クローゼットの時空の穴から来たと見て間違いないだろう。
以前、向こうからやってきた客人の事もあり
クローゼットはいつも開きっぱなしにしておいた。
―――今度はクッションでも着地地点にひいとくべきかな
「良かった〜、現実世界に戻ってこれたみたい」
「そうみたいだね」
現実逃避の混じった考え事のうちに
少女達はなんとか絡んだ状態から抜け出せたようである。
なんだか言っている事は意味深ではある。
「ねぇ、ここって」
「間違いないね、そこに居るのは………」
ぱっと見て、俺の思考は微妙に停止寸前に追い込まれた。
非現実は慣れてるはずだったんだけど
目の前の少女２人に俺は目を奪われた。
そこに居た２人は癒李そっくりな双子だった。
「「パパ！」」
「―――っ！？」
いきなり俺をパパ呼ばわりして
直後に、飛びついてきた双子。
驚きの連続で俺は言葉を出す事もままならなかった。
「ん〜。どうしたの………」
やっとの事で目覚めた癒李も
俺に飛びついてる少女２人を見て唖然。
本当に目の前の双子は癒李にそっくりだが
背中の真ん中辺りまでの長さの黒髪で完全に同じと言うわけではない
しかも癒李が見ている角度からは
双子の顔は見えずに後姿だけな為
俺が困惑の表情を浮かべる理由に気づいていない。
「パパ、若いねぇ〜」
「私達と同い年くらいじゃないかな」
俺に抱きついたままの双子は
困惑している俺と不機嫌を漂わす癒李に気づいてるのかいないのか
俺に抱きついたまま、安堵の表情をみせていた。
『奏ちゃん。そこ娘達は一体、何っ！？』
癒李は念話回線を開いて俺に話しかける。
引っ付いてる双子を気にしてるのか
はたまた俺だけに大声を上げたいのかは不明だ。
『話を聴いてくれ』
『………しかもパパって、そんな年の近い娘に。もしかして援助交際！？』
驚きと嫉妬で俺の言葉が聞こえてない………
勘違いどころか、勝手な思い込みも入ってるみたいだ
流石にこの状況じゃ釈明の余地ないかもしれないけどさ。
―――俺のこと信じてもらえないってのは少々悲しい。
『とりあえず落ち着け、俺が援助するほど金があると思うか
第一、普段から一緒にいるんだからそんなことする暇ないのは解るだろ』
いい加減暴走気味の癒李をなだめようと
癒李の髪を梳くようになで、俺と視線を合わせる。
『………そりゃ、そうだけど。じゃあ、その娘達は？』
冷静さを多少取り戻したようで
状況の確認できるようにはなってきた。
『知らないけど………きっと俺と癒李の関係者』
『関係者？』
俺は癒李に視線と顔の動かしだけで双子の顔を見る様に伝える。
指示通り覗き込んだ癒李は
目を丸くした言葉をなくす。
何か言おうとしてるんだけど
思う様に動かないで口をパクパクさせてる。
『明らかに、関係者っぽいだろ？』
『………う、うん』
「なぁ、君等は一体誰なんだ？」
確認は完了したので念話を切り上げると
俺は抱きついてる双子になるべく優しく話しかけた。
「そだね、何も言わないで飛びついちゃったし」
「解る筈ないもんね」
双子は顔を上げ、お互いに顔を見せ合いながら一言言うと
ベッドから降りて並んで俺達を見つめた。
「えっと、はじめまして。私があさみで」
「私があゆみ」
「「私達は『君吉 奏』と『君吉 癒李』の娘です」」
(2005年2月6日)
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