山瀬夫婦
『
奏
ちゃん』
学校から帰り俺は着替えて部屋でゴロゴロしていると急に
癒李
からテレパシーが届いた
『何だ？』
『これから遊びに来ない？』
『いいけど………それだけか？』
『それだけ』
『それだけって………癒李、テレパシーを携帯電話の代わりにするのはやめたほうがいいぞ』
『誰にも聞かれないし基本使用料も通話料もいらないし』
「……はあー」(汗)
『こっちに転送する？』
『いや、いい』
癒李の言葉にため息をつきつつ俺は家を出て商店街に向かった
俺は商店街の中にあるカードショップ『Ｓｅａ & Ｓailboat』に着く
ここは
山瀬
夫婦が経営する店で数多くのトレーディングカードを扱っているカードの専門店だ
独自のルートを使っていて、普通に手に入るカードから日本で数枚しかないカードまである
『Ｓｅａ & Ｓailboatになければ何所にもない』と言われるほどである
３階建てで１階が店、２階と３階が住まいになっている
ウィーーン
自動ドアが開き店中に入る
「いらっしゃいませーって
奏
君か」
将
さんが店番をしていた
「癒李なら３階の自分の部屋にいるよ」
「じゃあ、お邪魔します」
俺は言うと店の奥に入っていく
コン コン
俺は癒李の部屋のドアをたたく
「癒李入るぞ」
俺は癒李の部屋に入る
中はだいたい六畳ぐらいでベッドとクローゼット、机、本棚、パソコンがある
その部屋で癒李はパソコンと格闘中だ
「癒李、またそれやってたのか？」
「うん、まだこの曲がクリアできないからね」
癒李がこっちを見ずに答える、やっているのは某ＤＪシュミレーションゲームのパソコン版だ
癒李がパソコンをやるようになったきっかけは俺が教えたからだ
「また新しい曲落としたのか後で俺にもやらしてくれよ」
「うん、いいよ」
「……ってそうじゃなくて」
俺はＥｓｃキーを押して中断させる
「あ！」
癒李は残念そうに俺を見るが仕方がない
「癒李、超能力のことなんだけど、あまり頻繁に使わないほうがいいと思うんだ」
「大丈夫だよ」
「それでも心配なんだ……大好きな奴を心配しない奴なんかいないだろ」
俺は自分でも顔が赤くなるのがわかった
「奏ちゃん………」(ポッ)
「だから超能力はあまり使わないようにしような」
「でも、テレパシーと遠くに行くときの瞬間移動はいいでしょ？」
「テレパシーはいいが瞬間移動は時と場合を考えろよ」
癒李は頷くと抱きついてきた、俺は俺の腕の中で甘えている癒李の髪をなでていると……
「うおっ」
「きゃっ」
ドスン
急にドアが開きさやかさんと将さんが倒れこんできた……聞き耳を立てていたようだ
店の方はどうしたんだろうか？
「……お父さん、お母さんいつから聞いてたの」
「……いや……その」(大汗)
「…………最初から」(大汗)
「最初からって？」
「奏ちゃんが部屋に入ってから」
「……ってことは、ばれたんですね」
「何が?」
「『何が?』って私の超能力のこと」
「知ってたわよ」
「「はい!?」」
さやかさんは何でもないように言った
「あれで隠してたつもりだったの？」
「うん」
「隠し事が下手ね」
「いつから知ってたんですか」
「えっと、確か癒李が小学生の時からかな、
癒李の様子がなんか変だなと思って
こっそりに部屋のぞいたら物を浮かばせてるのが見えたから
とりあえず言ってくれるのを待ってたんだけどね」
「ごめんなさい」
「いいのよ、でももう話してくれるわよね?」
それから癒李の超能力について説明した
超能力が使える事は知っていたが何ができるかまでは知らなかったようで終始驚き顔で聞いていた
「へー、癒李ってそんなことまでできるのね」
「あと、俺には…」
「鬼の力だろ」
「え!?」
俺が言うよりも早く将さんが答える
「龍也さんから聞いてる、同じ力を持ってるからって」
「……親父知ってたんだ」
考えてみれば簡単なことだ，俺に鬼の血が流れているのだから
うちの親のどちらかが鬼の血を引いているということだ
「奏君が力に目覚めた日も物陰から見てたそうだよ」
(だったら何であの時止めてくれなかったんだろう、止めてくれていれば俺は癒李を攻撃しないですんだのに……)
「…そうなんですか」
「どうしたの奏ちゃんうかない顔して」
「いやなんでもない」
「とりあえず癒李、次から搬入手伝ってもらうわよ」
「えー、そんなー」(泣)
(2002年4月11日)
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