レベルアップ
「おし、休憩入れるか」
「ふー」
「奏ちゃん、お疲れさま」
「ありがと」
癒李から手渡されたタオルとスポーツドリンクを俺は受け取りながら言う
あれから一週間、毎日朝から親父と夜中まで雨月山で特訓をしている
癒李も毎日特訓に付き合って俺のサポートをしてくれる
「奏ちゃんすごいよ！ 以前よりも格段とスピードが上がってるよ」
「そりゃあ、そう言う特訓してるからな」
速さに慣れてくるたびに難易度アップとか言って３〜５倍にスピードアップするのはどうかと思うが………
「奏、まだまだこんなスピードで満足するんじゃないぞ」
親父が横から言ってくる
「わかってるって」
「じゃあ、休憩終わったら今の４倍速でやるぞ」
「………了解」(泣)
あんたは鬼か？ …………鬼だったな俺も含めて
「……がんばってね私も応援するから」(汗)
「おう、頼む」
「じゃあ、そろそろ始めるか」
「おし、やるか」
「奏ちゃんがんばってね」
俺は頷くと特訓を再開した
「ほらほら、こんなスピードに付いて来られないようでどうする」
親父が怒鳴る
ドスッ
「ぐはっ」
避けきれずに石が直撃する
「こら！ たかがさっきの４倍にしただけのものがどうして避けられない」
親父が投げる手を止めて怒鳴る
「………ちくしょうこれぐらい」
俺はふらつきながらも立ちあがり構える
「よし、行くぞ」
「よし、休憩」
あれからさらに５倍の速度になったが何とかそれに慣れ確実にかわせるようになった
「はい、奏ちゃん」
癒李からスポーツドリンクを受け取り一気に飲み干す
「奏ちゃん……よくあんなの避けられるね」
「いや、慣れてきたと言うかなんと言うか……」
「そろそろやるぞ」
親父が言う
「親父、次は何をするんだ？」
「次は実際に戦ってみる、一週間前のようにかかって来い」
言い終わると親父は構えた
「いくぞ！」
俺は力を解放しつつ跳びかかる
俺は鬼化させた腕で殴りかかる
サッ
親父はそれをかわす
俺はかわされた直後にもう一度跳びこみ再度連打を放つ
「くっ」
親父はそれを何とかガードした
俺はさらにそれに追い討ちをかけるべく跳びこむ、しかし
ドゴッ
親父のカウンターが俺に入る、そして俺の意識は沈んでいった……
「あいたたた……」
「奏ちゃん大丈夫？」
目がさめると癒李が心配そうな顔でのぞき込んできた
「ああ、大丈夫だ………」
俺は起きあがろうとするが横にいる親父に止められる
「まだ待てまだ完全に回復していない」
そう言うと親父は俺に手をかざす、すると特訓中に受けた傷が治っていく
「もう動いていいぞ」
「親父いったい何をしたんだ」
「一言で言えば『治癒力付与』って物だ、教えてほしければ教えるぞ」
「……鬼の力ってこんなこともできるんだな」（汗）
「結構いろんなことができるぞ」
「そうなのか……」(汗)
「それより、よく俺をあそこまで追い詰めたな」
「そう言ったってきっちりカウンター決めてるじゃないか」
「それでも最初と比べると数十倍速くなったぞ」
「そうなのか自覚してなかった………」
「まあ、これくらいできればいいな、あとは自分で鍛錬しろよ」
「とりあえず帰るか」
それから俺は癒李を家まで送ってからうちに帰った
ちなみに後日、親父から治癒力付与を教えてもらい使えるようになった
(2002年4月16日)
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