思い出
「奏ちゃん、あーん」
「あーん」
「……どうかな？」
「うん、美味い」
「よかった、これ初めて作ったから満足してもらえるか自信なかったから……」
「そんな事ねーよ、いい味してるぜ」
「ありがと」（ポッ）
今、私たちは屋上にいます今日は保護者面談があって半日授業なんだけど
私が係りの仕事で午後も残るのを奏ちゃんも手伝ってくれて
それで、ちょっと遅めのお昼を食べてます♪
「癒李、あーん」
「あーん」
食べ終わって奏ちゃんは私に膝枕されて眠ってる
いつも私を守ってくれる私の大事な人、でも今は安らかな寝息を立ててる
「戦士の休息」って感じかな
………そう、本当に小さい頃から一緒にいた
最初は龍也さん達が仕事でいないからよく家に預けられた奏ちゃんを兄妹の様に感じていた
だけど奏ちゃんが力に目覚めた時から私たちの関係は変わっていた
奏ちゃんは私が超能力を持っていること、私は奏ちゃんが鬼の力を持つことを知った
これは２人だけの秘密だった（まあ、お母さん達は知ってたんだけど……）
それにこの事をきっかけに奏ちゃんは私を守ると言ってくれた
私たちの仲はより親密になっていった、お互いがお互いを必要としていた………
ヒック ヒック ヒック……
「…………ごめんね、ごめんね、私のせいで」
「いいって、こんな傷、俺の力があればすぐに直っちまうって」
「だけど、だけど…………」
私はまだ力を使いこなせなくて、よく私の力は暴走した。それを奏ちゃんが止めてくれて
いつも奏ちゃんは生傷が絶えなかった
「いいんだ、癒李につけて貰った傷なら大歓迎だよ」
「奏ちゃん……」（ポッ）
「……と、とにかく帰るぞ」
――この頃からかな私たちがお互いを意識し始めたのは
「ふー、イテテ」
「奏ちゃん大丈夫！」
――この時は２人で散歩してたら、居眠り運転の車が突っ込んできて
奏ちゃんは私を庇ってくれたんだけど、奏ちゃんは大怪我しちゃったんだよね
「ああ、こんなの全然平気だ」
「平気って、たくさん血が出てるよ」
「大丈夫だって」
奏ちゃんは力を使ってすぐに傷を回復させる
「ほらな」
「よかった、奏ちゃんが無事…で………グスッ」
「俺は癒李を守っただけだ、俺なんかの為に泣くなよ」
「そんな事ない！ 奏ちゃんは私の大事な人だもん！」
「癒李……」
「私は奏ちゃんの事大好きなんだよ」
「………俺も…俺も好きだ。癒李の事が大好きだ！」
私たちはキスをした
――これが私達のファーストキスだったんだよね、奏ちゃんまだ覚えてるかな？
「奏ちゃん、あーん」
「え！ ちょっと癒李……」
「どうしたの奏ちゃん？」
「癒李それはちょっと……」（汗）
「いいじゃん、いつもやってんだから、それよりも口移しのほうがよかった？」
「そうじゃなくて、遠足でこれは……」（汗）
「大丈夫だよ」
「大丈夫じゃねーって、他の奴も見てるし」
「いいって、見られても」
「……勘弁して」（泣）
「はい、あーん」
――これは小学３年生の時の遠足。この後、結局奏ちゃんは食べてくれたんだよね
この頃からだったよね、奏ちゃんが辺りを気にしないで「あーん」ってやってくれるの
ザザー ザザー
「奏ちゃん、夕日きれいだね」
「……そうだな」
奏ちゃんが私の肩を抱き寄せて言う
「……奏ちゃん」
私は赤面しながら言う
「どうした？」
「分かって言ってるでしょ」（ジトー）
「ああ」
奏ちゃんが私を抱きしめてキスしてくれる
――これは中学のときに行った海浜学校の時
こっそり抜け出して浜辺で一緒に夕日を見たんだよね
だけど皆に見られてたみたいで戻ると一斉に『アツアツ、ごちそう様でした』って言われた
澪ちゃんも【ごちそうさまなの】ってスケブに書いて私たちに見せてきたし………（汗）
「奏ちゃん。あったよ、あった」
「俺もあった」
「よかったー。また一緒だね」
「そうだな」
「今日は、お母さんに頼んで御馳走にしてもらうから家に来てよ」
「お！ それじゃー行かせてもらうぜ」
「それじゃー奏ちゃん、帰ろう」
「おい奏、俺も受かったぞー」
「そうだな、帰るか」
「無視するなー」
――これはこの高校の合格発表の日
次の日なぜか祐治君がいじけてたのは何でだろう？
それからいろんな人と出会って、いろんな事があった
これからもいろんな事が起こりそう
「う、うーん」
「あ！ 奏ちゃんおはよう」
「ああ、おはよう」
「そろそろ帰ろう」
「よし、帰るか」
―――奏ちゃん、私達いつまでも一緒だよね
（2002年6月18日）
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