モジモジ
「今日は風が吹いてて気持ちいいね」
「そうだな」
俺達は屋上で弁当を食い終わって風に当たっている
「……ってこの頃屋上から話が始まるの多くないか？」
「気にしちゃダメだよ」
「………そうする」
ガチャン
屋上のドアが開く
「あ！ ここに居たんだ」
「祐治なら今いないぞ」
「そ、そんなんじゃないよ」
祐次の名前が出たとたん詩恩は赤面する
「お前、祐治に惚れてるだろ」
「な、何でそのことを……」
「あんなにあからさまにしてたら分かるよ」
「うぐっ」
「あいつは今まで空手一筋だったから、好きな人がいるって噂は聞いた事無いぞ」
「って事は……」
「だけど祐治君は詩恩ちゃんの事どう思ってるのかな？」
「さーな、祐治がここに居て詩恩にどんな反応をするか見れば分かると思うんだが……あいつ単純だし」
「それは奏ちゃんも一緒でしょ」
「まあな」
ガチャン
言ってるそばから祐治が屋上に来る
噂をすれば何とやらっと言うより作者の御都合主義だな
「祐治どうしたんだ？」
「いや、ちょっとな……」（ポッ）
「………………」（ポッ）
目が合うと詩恩も祐治もお互いに赤面して視線をそらす
『………奏ちゃん』
癒李が回線を開く
『２人とも意識し合ってるみたいだな』
『あと一押しって所だね』
「あたしちょっと用事思い出したんで教室に戻るね」
詩恩は屋上を後にする
「奏、ちょっと相談したい事があるんだが……」
「詩恩の事か？」
「………よく解ったな」
『こいつ等あれだけお互いにあからさまにしてても気づかないのか？』
『まあまあ』（汗）
「昨日抱きつかれて以来かな、妙に意識するようになっちまって昨日の稽古も結局身が入らなかった」
『こりゃあ、相当意識してるな』
『そうみたいだね』
「詩恩は俺の事どう思ってるのかと思ってな」
『今時こんな鈍感な奴いるのか作者！』
『………そこに突っ込むのはやめた方がいいと思うよ』（汗）
「詩恩は他に好きな奴は居ない、だがあとはお前次第だからな」
「おう！ サンキュー」
祐治は颯爽と屋上を後にする
キーン コーン カーン コーン
チャイムが鳴り放課後になる
「奏、オレ先に帰るから」
「おう、じゃーな」
「じゃーね、祐治君」
祐治が教室を出てすぐ俺と癒李は後を追う
「……祐治さん」
「詩恩……」
昇降口で詩恩は祐治を待っていた
「……一緒に帰るか？」
「………うん」
それ以外言葉を交わさないまま２人は学校を後にする
学校を後にした２人はこのあいだ俺が祐治を秒殺した公園のベンチに座っている
『来てから一言も喋らないね』
『ああ、そうだな』
俺達は光学迷彩を使って祐治達から５ｍ位離れた所にいる
「………………」（モジモジ）
「………………」（モジモジ）
さっきから２人ともこの調子で喋らない
――１０分経過
「………………」（モジモジ）
「………………」（モジモジ）
『……喋らないね』
『……ああ』
――さらに１０分経過
「………………」（モジモジ）
「………………」（モジモジ）
『………まだ喋らない』
『……あいつ等いつまで喋らないつもりだ』（汗）
「「……………あの」」
２人同時に口を開く
「し、詩恩から先で良いぞ」
「ううん、祐治さんからで良いよ」
「あ、うん…………………………お、俺。お前の事が好きだ」
「………………」
詩恩は祐治の言葉を聞いたとたん泣き出す
「やっぱり嫌だったか？」
「………そうじゃない、嬉しいの」
２人は抱き合ってキスをする
「………祐治って呼んでいい？」
「もちろんいいさ」
パキッ
「誰だ！」
俺はうっかり足元に落ちている木の枝を踏んでしまった
『やばい』（汗）
「………………」
祐治は無言でその辺に落ちている石を拾うと自分の周りに投げた
ガン
その中のひとつの石がバリアにあったって落ちる
「………そこか」
祐治は俺達の方に近づいてくる
「………ごめんね」
「……俺達が悪かった」
バリアを解いて俺達は謝る
「…………覚悟はいい？」
祐治と詩恩の背後に黒い炎が見える
「「………勘弁して」」（泣）
「……問答無用」
祐治が呟く
ヒュー
詩恩の周りの風が渦を巻く
「……吹き飛べ」
ビュオー
俺達は飛ばされていった
「………昨日逆上したおかげで多少力が目覚めたみたい」
「とりあえず邪魔者が居なくなった所で……」
「……うん」
２人はもう一度今度は長いキスを
その頃俺達は星にな………るわけ無いだろ！ 俺は癒李を抱きかかえると力を解放して着地する
「とりあえずあの２人は大丈夫だなこれで」
「そうだね」
俺達は帰路につく
（2002年7月3日）
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