儲かりまっか
「………………」（汗）
目を覚ますと自分の部屋ではない天井が見える、見知らぬ天井……………ではないのだが
昨日は確かに自分の部屋のベッドで寝た
「おはよう、奏ちゃん」
隣には笑顔の癒李がいた
無論、布団の中に…………
服は普段着だ、つまり俺が起きる直前に潜り込んできたようだ
「………これはどう言う事だ？」
「『これ』って？」
「何で俺が寝巻き姿で寝たまま癒李の部屋のベッドに転送されないといけないかだ！」
「私が着替えさせた方がよかった？」（ポッ）
癒李は顔を赤くさせて言う
「そうじゃなくて………」
俺は反論する気も失せていた
「ここに着替え置いとくよ」
癒李は転送してきた俺の服を置くと部屋を出て行った
「はあー」（汗）
俺はとりあえず着替えると癒李の部屋を後にした
「おはよう、奏ちゃん。ここ座んなさい」
２階のリビングに降りて行くとさやかさんが朝食を用意してくれていた
「癒李に用件は聞いたわよね？」
「………いいえ」
俺は用意して貰った朝食に手をつけながら言う
「癒李、言ってなかったの？」
「…………忘れてた」
「折角来て貰ったんだからきちんと言わないとダメよ」
いつの間にか俺は自分から来た事になっている様だ………
「今日は……………」
「ありがとうございました♪」
俺は店の手伝いをしていた
「これとこれとこのカードください」
「はい、７３５円になります」
客は千円札を差し出す
「２６５円のお返しです。ありがとうございました」
「これください」
客は途切れることなく来る
「はい、１５パックで２３６２円です」
「ちょうどのお預かりです。ありがとうございました」
今日はいつも以上に客が多い
癒李曰く明日近くでカードの大会が行われるとの事だ
「すいません」
「はーい……………」
「奏君」
「何ですか？」
俺は将さんに呼ばれる
「今、搬入の車が来たから癒李の搬入の手伝いをしてくれるかい？」
「はい、解りました」
「手伝いに来たぞ」
「いいよ、あたし１人でも平気」
「まあ、そんな事言うなよ」
「もう終わっちゃうよ」
癒李は目の前にあるカードの入った箱の山を転送する
「こりゃあ、手伝う暇もないな………」
「でしょ」
「「ありがとうございました」」
俺と癒李がカウンターの仕事をしている
将さんとさやかさんは発注の仕事を奥でやっている
さっきと比べると大分客も減ってきた
ウィーン
自動ドアが開く
「いらしゃいま……ってなんだ」
入ってきたのは祐治と詩恩だった
「がんばってるか？」
「ああ、ところでどうして俺がここにいるって解ったんだ？」
「詩恩が俺の家に来る時に店の前通ったんだよ」
「それでか」
「なんかよ、２人そろって店に立ってるの見てると夫婦に見えてくるよな」
「確かに見えるね」
「「………………」」（ポッ）
祐治と詩恩の言葉に俺と癒李は赤面して俯いてしまう
「あはは、とりあえずがんばってくれ」
「それじゃあね」
それだけ言うと祐治と詩恩は店を出て行く
「「………………」」（汗）
俺達は真っ赤になりながらお互いの顔を見つめ合った
「ご苦労様」
店を閉めながら将さんは言う
「お役に立ててよかったです」
「今日は泊まっていきなさい」
さやかさんの口元に微かに笑みが浮んだような気がした
また、なにか企んでるみたいだ………
「奏ちゃんの風呂沸いたよ」
夕食を頂いてテレビを見ていると癒李の声が聞こえる
小さい頃からさやかさん達に自分の家だと思って寛ぎなさいと言われて以来
ここは俺の第２の我が家となっている、結構こき使われるのだがそれは
さやかさん達が俺を家族として扱ってくれていると感じて逆に嬉しかったりもする
俺は一番風呂らしい
「ふー」
俺は湯船につかりながら一息つく
「奏ちゃん一緒に入ろう」
急に癒李が入ってくる
「な！」
「どうしたの？」
癒李は自分が一緒に入るのが当然の様に言う
「小さい頃は一緒に入ってたんだからいいでしょ」
「だからって…………せ、せめてタオルくらい巻け」
癒李は何も隠さずに入ってきたのである
「いいじゃん、私と奏ちゃんの仲なんだし………それとも嫌？」（ポッ）
顔を赤くしながら癒李は言う
無論嫌ではないだがこっちの理性が……
しかも頬を赤く染めた癒李が反則的に可愛く見えてどんどん俺の理性は削られていく
「背中洗ってあげるね♪」
「あ、ありが…と……う」
どうも上手く喋れない
ゴシゴシ ゴシゴシ
癒李が背中を洗ってくれる
俺はそれを顔を真っ赤に染めながら受けていた
「奏ちゃんの背中って広いね」
「そ、そうか？」
「うん」
ピトッ
「ぐはっ」
癒李が俺の背中に体を密着させたのだ
癒李の決して小さくない２つの膨らみの感触が俺の背中から伝わってくる
そのおかげで俺の下半身の一部が熱膨張を起こしてしまった
癒李は目の前の鏡に写ったそれを見て顔を真っ赤にさせながら
「奏ちゃん、前も………」
「前は自分で洗う」
俺は癒李が言い終わるより先に言う
「………………」（汗）
それから俺はすぐに風呂から撤退した
「どうだった？」
さやかさんが笑みを浮かべながら現れる
……………やはり、癒李に一緒に入るように仕向けたのはあなたなんですね（汗）
（2002年7月24日）
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