消滅期間
シュッ
「「こんにちはー」」
学校も長期休暇に入り
今日、俺と癒李は水瀬家に遊びに来た
「あら、いらっしゃい」
秋子さんが笑顔で言う
「いつもながら速いな」
「そりゃあ瞬間移動ですから」
「名雪さん達はどうしたんですか？」
リビングにいるのは祐一さんと秋子さんだけ
「あとで解るさ」
「「？」」
俺たちは首をかしげる
「祐一さん、名雪達はダメみたいなのでお買い物頼めるかしら？」
「いいですよ」
「俺達も行かせてもらっていいですか？」
「いいぞ」
「所で何を買うんですか？」
俺達は今、商店街にいる
「『食べたい物を』だってさ」
「祐一さんは何が食べたいんですか？」
「うーん、そうだな………」
「！」
祐一さんは急にその場所から３ｍほど移動する
ズシャー
さっきまで祐一さんがいた所を
Ｔシャツとハーフパンツというラフな格好をしたあゆさんが飛び込む
「うぐぅ」
「いつも言ってるが飛び込んでくるな！」
「………だって」
「だっても何もあるか！」
「………うぐぅ」
それから俺達は買い物を済ませ商店街をぶらついていると
ゲームセンターの前に真琴ちゃんがいた
「どうした真琴？」
「………何でもないわよ」
「ん？」
祐一さんは真琴ちゃんがここにいる訳が解った様だ
「また撮るか？」
「………う、うん」
「全く素直じゃないな」
「うるさいわね！」
それから俺達は一緒にプリクラを撮った
「♪〜」
真琴ちゃんは結構満足したようだ
「それじゃあ帰るか」
俺達は水瀬家に向かって歩き出した
「「「「「ただいまー」」」」」
「おかえりなさい」
「はい、買って来た物です」
祐一さんは買ってきた材料を渡す
「うー」（汗）
俺達がリビングに入るとノートＰＣとにらめっこしている名雪さんがいた
「もしかして、さっきいなかったのって………」
「そう、最近買ったんだけど全く解らなくてな」
「解んないよー」（泣）
「えーと、どこですか？」
「奏ちゃん、名雪さんここが解らないみたいだよ」
「これね」
俺と癒李で名雪さんに指導していく
「ふー」
名雪さんに指導していて気が付くと時計は７時を回っていた
「夕飯食べていったらどうですか？」
「癒李どうする？」
「そうさせてもらおう」
「そうするか」
俺と癒李はお言葉に甘える事にした
「「ごちそうさま」」
「今度教わっていいですか？」
癒李は秋子さんに言う
「いいですよ」
秋子さんは微笑みながら答える
「とりあえず今日はこれで」
「そうですね」
「それでは失礼します」
俺は癒李の手を握る
「あれ？」
手を握り瞬間移動を待つがなかなか瞬間移動しない
「癒李、どうした？」
「…………瞬間移動できない」
《え!?》
そこにいた俺と癒李以外が声をあげる
「あれれ？」
癒李はそこにあった箸を念動力で持ち上げよとするがまるで動かない
「………あれか？」（汗）
「そうみたい」（汗）
「ねえ、『あれ』って何？」
あゆさんが俺たちに聞いてくる
「超能力の消滅期間です」
「消滅？」
「ああ、一時的に超能力が無くなるんだ」
「大丈夫なのか？」
「ええ、一定期間だけです」
「一定期間ってどのくらい？」
「大体１日〜５日ぐらいですね」
「その間は超能力が使えないと言う事か」
「そうです」
「それにしても久しぶりだな」
「そうだね、前の消滅期間が来たのは１０ヶ月くらい前だったからね」
「間は一定ではないのか？」
「ええ、１か月で来た事もありますし、２年間の間があった時もあります」
「…………そうか」
「それじゃあ、帰れませんね」
秋子さんは言う
「よければ超能力が復活するまで泊まっていってはどうですか？」
「良いんですか？」
「ええ」
「じゃあ、お世話になります」
「了承」
「そう言えば最初に消滅期間に入ったときは慌てたよね」
「そうだったな」
俺と癒李はリビングで寛いでいる、親には水瀬家に泊まる事を伝えた
超能力に関しては心配していたが前にもあったことを伝えると安心したようだ
「あの時は超能力が無くなったのかもって本気で思ったよね」
「ああ」
「あの時言ったよね、『超能力が無くなっても癒李は癒李だ、
俺がもっとがんばって癒李を守ればいいだけだ』って」
「そうそう言った」
「あれ、凄く嬉しかったよ」（ポッ）
癒李は頬を少し赤くする
「そうか？ そう言えば超能力無くして落ち込んでた癒李に言ったよな
『癒李もこれで普通の女の子になれたんだから気にするな！』って」
俺は顔を少し赤くしながら言った
「そうだったね」
「それって何歳の時だ？」
「大体７歳の頃だったよな」
「うん」
「そんな時から付き合ってたんだ」
「すごいね」
「「！」」
今更気付いた、俺たちの後ろに祐一さんと名雪さんと
あゆさんそれに真琴ちゃんがいることを………（汗）
「結構最初の方から聞いてました？」
祐一さん達は頷く
「「………………」」（滝汗）
「おやすみ癒李」
「おやすみなさい、奏ちゃん」
俺と癒李は言葉を交わすと部屋に入っていった
俺は祐一さんの部屋、癒李は名雪さんの部屋で寝る事になった
「ねえ、癒李ちゃん」
「何ですか？」
「超能力が使えないと不安だったりするの？」
「最初の頃は不安になったりもしましたが今は特にないですね」
「そうなんだ」
「今は『普通の女の子』を満喫します」
「さっき奏君が言ってた言葉だね」
「はい」
「でも特に変わらないんじゃない？」
「気持ちの問題です」
「そう言う物なのかな？」（汗）
「そう言うことにしといてください」
「そうするよ」
そう言うと名雪さんは寝息を立てる、本当に寝つきがいい
「………おやすみなさい」
そう言うと癒李も眠りにつく
（2002年8月18日）
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