侵入禁止
「ふぁあー、おはよう」
「おはよう奏ちゃん」
休日の朝、遅めに起きた俺を朝食を作っている最中の癒李が迎える
ピンポーン
「誰かな？」
「俺が出てくる」
「お願いね」
「おう」
癒李は料理をしている最中なので必然的に俺が行く事になる
まあ、このくらい当たり前だから何とも思わないがな
「何だった？」
「回覧板だった」
俺が出ると、隣の家の人が回覧板を持って立っていた
俺はそれを受けとって戻ってきた所だ
「何が書いてあるのかな？」
「さあな」
俺は回覧板に目を通さずに居間のテーブルに置くとテレビに目を向ける
「見ないの？」
「特に見る物でもないだろ」
「重要な事かもしれないよ」
「そうか？」
「私が見るね」
念動力で回覧板を目の前で静止させて見る、調理の手は一切止めない
「窃盗犯に注意だって」
「窃盗犯？」
「この辺りで頻繁に起きてるみたいだよ」
「家に来ても取る物ないだろ」
「窃盗犯の人がそれを知ってるはずないよ」
「まあ、それもそうだな」
「よし、奏ちゃん朝食できたよ」
「じゃあ、食おうぜ」
「うん」
俺達は早速癒李の作った朝食を食べる
食べ終わる頃のはさっきの回覧板の事などすっかり忘れていた
「「ごちそうさま」」
「奏ちゃん、ちょっとお部屋借りていい？」
「どこの部屋だ？」
「使ってない所ならどこでも良いよ」
「じゃあ、親父達の部屋でも使ってくれ」
「うん、ありがとう」
「でも、何するんだ？」
「秘密だよ」
「秘密っておい」
「覗いちゃダメだよ、覗いたらお・し・お・きだからね」
「お、おう」
どうも強調されている場所が気になるがそんな事はお構いなしに癒李は部屋に篭る
「よし」
シュッ
私は裁縫道具一式と作り途中の衣装を転送する
「さあ、がんばるぞ！」
わたしはすぐに作業に取りかかろうとするがすぐに手を止める
「奏ちゃんには言っといたけど、とりあえず………」
わたしはドアに細工を施す
「よし、これで完璧」
わたしは改めて作業を始める
♪〜〜♪〜♪〜〜〜〜♪♪
携帯電話の着信音が鳴る、着信音はすぐに止まった
「誰だろう？」
画面を見ると瑞希さんの名前が出ていた
『もしもし、瑞希さん』
『癒李ちゃん、ごめんね超能力使わせちゃって』
『いいんですよ、元々私がお願いした事ですしこっちの方が好きなんで』
『そう言ってくれるとこっちも楽でいいわ』
『所でどうしたんですか？』
『ちょっとどこまで進んだか気になってね』
『じゃあ、現状をそちらに送りますね』
私は今見ている光景をテレパシーに添付させる
『結構順調みたいだね、初めてには思えないわよ』
『お世辞でも嬉しいです』
『そんな事ないよ、確かそれオンラインゲームのコスだっけ』
『はい、そうです』
『資料見たけど、きちんと再現されてるし作りも申し分ないわよ』
『ありがとうございます』
『こっちも、うかうかしてられないわね、かっこいい決めポーズとか考えておかないとね』
瑞希さんの話を聞いていて何時も思う
この人本当に初めはオタク嫌いだったのかどうかって（汗）
『まあ、自分でも驚いてはいるんだよね』
『あ、すいません』
うっかりテレパシーにのせて送っちゃったみたい
『いいわよ、でもこの頃思うのよね、こんな生活もいいなって』
『そうですか』
『じゃあ、頑張ってね次のこみパ楽しみにしてるから』
『はい、がんばります』
私は回線を閉じる
さあ、がんばって仕上げないと
「！」
超能力が発動したのを感じた
ドアに仕掛けた細工に何か引っ掛かったみたい
シュッ
「………奏ちゃん、何やってるのかな？」
私は瞬間移動でドアの外側に移動する
そこには私がドアに張った強制停止に引っ掛かっている奏ちゃんの姿があった
私はとびっきりの笑顔で奏ちゃんに話し掛ける
「い、いや、ちょっと気なってな………」（汗）
一方奏ちゃんは私の顔を見て少し怯えている
『なんかショックだなとびっきりの笑顔なのに』
「………目が笑ってないんだよ目が」（大汗）
奏ちゃんは私のテレパシーに何とか突っ込みを入れる
「とりあえず、言ったよね見たらおしおきだって」
フッ
私は具現化した日本刀を持つと奏ちゃんのほうを向く
「待て、それはいくらなんでも切れ味がヤバ過ぎる、それにまだ未遂だ」
「未遂だって強制停止がなければ見てたでしょ
大丈夫、今回は思いっきり切れ味悪くしたから浅い傷が出来るだけだよ」
「それは、それでいやじゃーーーー！」
ドドドドドドド
奏ちゃんは力を解放して私の強制終了から脱出すると外に逃げ出す
「奏ちゃん、逃がさないよ♪」
シュッ
私は瞬間移動で奏ちゃんの居場所まで跳ぶ
「………もう許して」
奏ちゃんは一言呟くとそのまま気絶しちゃった
いくらなんでもこれくらいで気絶しちゃ駄目だよ、鬼の力持ってるんだから
ちなみに私がどうやって奏ちゃんの捕まえたかというと
そこら辺一帯に強制停止をかけて奏ちゃんがそれを突き破って
体力を消耗した所を動けない様にしてからあとは………………
「………まあ、確かにやりすぎたかも」
力を解放している為もう傷はないが奏ちゃんの体は斬られた時の血で血だらけになっている
「あれ？」
私はまた超能力が発動したのを感じた
奏ちゃんはここにいるし誰かな？
シュッ
私はとりあえず瞬間移動で家に戻る
「な、何だこれは!?」
シュッ
私が家に戻って作業していた部屋の前に行くと
知らない男の人が私が仕掛けっ放しにしていた強制停止に引っ掛かっていた
「な！、どこから出てきた!?」
私が来たのに気が付いて男の人は慌てた様に言う
「………回覧板に載っていた窃盗犯ってあなたですね」
「だったら何だよ！ それより放しやが………」
そこでその男の人は言葉を詰まらせた
私の手には奏ちゃんのお仕置きで使った日本刀が握られていたからである
しかもその日本刀は奏ちゃんの血がまだしっかりと付いていた
「………悪い人には容赦しません！」
「ギャアァーーーーーー！」
その日の夕方この辺りを騒がせていた連続窃盗犯は
ボロボロの状態で隆山警察署前に倒れていたそうだ窃盗犯は事情聴取の間ずっと
『血だらけの日本刀を持った少女がガトリング砲を………』と呟いていたと新聞には書いてあった
「窃盗犯捕まったみたいだな」
「そ、そうらしいね」（汗）
なぜか癒李は戸惑いながら答える
「所で何やってたんだあの部屋で」
「ちょっとね、まだ教えてあげない」
「それって教えてくれるんなら俺斬られる必要なかったんじゃ………」（汗）
「………でも、約束破ったのは奏ちゃんの方だし」
「そりゃあ、そうだが」（汗）
（2002年10月17日）
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